ブンベツ【完】



次の日。

一昨日降り積もった雪はまだまだ底知れずに残っていて、やはり昨日だけで溶け切れるわけもなく移動に苦労する様(さま)だ。
昨晩もそのままカイさんの家に泊まったため、このまま仕事へ行くことになった。

朝まで同じベッドで寝て、学校まで送ると譲らないカイさんの言葉に甘えて車で送ってもらった。



例年に比べて今年は降雪が異例のおかげなのか、はたまた所為と言うべきか。
これがなかったらカイさんのマンションから出勤するのも、カイさんと体を繋げる事も、ましてや会う事すらなかった。


この先カイさんとは以前の様に真っ新な状態で付き合っていくことは出来ない。

体を許したのはカイさんの中に「いい思い出」として私をブンベツさせるためだったから。
根付いてしまった罪悪感を消して最終的には利害の一致でお互いが自然に別れることで。

そのためだった何でもする。
カイさんが求めれば体を差し出すし、どんな時間だって使う。
束縛も嫉妬もなし。欲も言わない。


どんな時も受け身でいなければならない。