「…カイさんが言うとシャレに聞こえないです…」
想像するだけでもハラハラするのにそんな悪い冗談はやめてほしい。
こんな異次元な人に手をあげる人なんているのかすら疑わしいのに、私の両親がって考えただけでもおそろしい。
だけどそんなことよりも、両親がいないってなると挨拶がなくなる上にやることもなくなってしまった。
時刻は13時を過ぎた頃。
特にお腹が空いてるわけでもない。
「とりあえず適当に走る」
どうやら今日はドライブになりそうだ。
ヨシノさんからお借りしてるらしいピカピカの車に乗ると車は走り出す。
無計画な突発的なことは嫌いじゃない。
ワクワクするし、何よりもカイさんがいればどこだっていい。
「なァ」
「なんですか?」
信号が赤で車が停まる。
目の前には子供が手を挙げて横断歩道を渡るのが目に入って私たちはそれをじっと見てる。
ピンと腕を伸ばす小学生くらいの男の子。
可愛い、どこか遊び行くのかな?
「俺と結婚してくんない?」
オレトケッコンシテクンナイ?
ん?オレトケッコンシテクンナイ?
ケッコン?
「……………え?」

