帰ったのは門限のギリギリだった。
ホテルからそのまま家まで送ってもらった。
身体はもう限界で意識が飛びそうの中、昨夜の事を聞いてくるお母さんを横目に自室に逃げてベッドに倒れた。
ホテルを出るギリギリまで身体を繋いでいたから無理もない。
帰りの車の中で死人のように眠ってしまった私をカイさんは咎める事なく、最後名残惜しそうにキスをくれた。
「明日迎えに来る」
そう別れを告げて帰って行った。
そうして次の日カイさんが来たのはお昼を過ぎた頃。
携帯に着いたと連絡が入っていつも車を降りる場所に停車していて、ジャケットを着たカイさんが車から降りてくる。
そこで気づいた。
どうして迎えに来るって言ったのかって事と、暑いのにジャケットを着ているのか。
だけど今日はタイミングが悪い。
「あの、もしかして…挨拶ですか?」
「一昨日約束したろ?」
「…あの、ごめんなさい。今日両親朝から出掛けてていないんです…」
これは嘘ではなくれっきとした事実だ。
朝シャワーを浴びたため下に降りたら二人の姿はなくて、冷蔵庫に書き置きの紙が一枚あった。
「どうやら親戚の家に行ったらしくて…」
そのおかげで色々詮索されなくて済んだから嬉しい事ではあるけれど、まさかカイさんが挨拶しに来るとは思わなかった。
「殴られる覚悟で来たんだけどな、一先ず今日は見送りか」

