声がダイレクトに伝わってドキドキして心地よい温もりを堪能するように目を閉じる。
「…つまらないなんて思ったことないです」
あなたがいれば、どんな場所でも。
「だとしても楽しくはないだろ?」
「カイさんがそこまで気にする必要なんてないんです。ずっとお店に居ることが苦だとも思ってません」
「俺はあんたを、あんな汚い部屋だけじゃなくて色んなとこに連れってってやりたいんだよ」
あぁ…やっぱり私、大切にされてるな…。
何で、バカみたいに不安になってるんだろう…。
どこにも、不安がる要素なんてなかった。
この人は最初から私を大切にしてくれてるって分かってたはずなのに。
「これは俺のエゴか?」
体を少し離して腰を屈めて、顔を覗いてくるカイさんがやっぱりどうしても愛おしくて。
私の両耳の後ろを挟むカイさんのそれに手を重ねて温もりを感じる。
「いえ…凄く嬉しいです」
そうやってカイさんが私の事を考えてくれるのが凄く凄く嬉しくて、それをもっともっと伝えたくて一瞬だけカイさんの唇に触れる。
私からしたキスをしたのは初めてで、自分でしたのにも関わらず照れて思わず口がニヤニヤしてしまった。
「誘ってんの?」
色気のある声で伏し目がちに視線を唇に流すカイさんの表情にまた心臓が暴れだす。
まだまだカイさんの方が上手である。
「上手に誘ってみろよ?」

