その人は手慣れたように団扇を使ってパタパタと炭に向かって風を起こす。
仰がれる風が炭の匂いを届け鼻を掠めた。
「結構前からアスカやサジくんから貴女の話を聞いてたんで。実は言うとどんな人なのか見てみたかったんです」
「そうなんですか」
「もう声は出せれるんですか?」
「え?」
「声が出ないと聞いていたんで」
「……」
「あ、でも見てみたかったって言うのはそういう意味じゃないです!」
…あれ、ちょっと、
「ヨシノくんもカイくんも惚れるほど凄く魅力的な人なんだっていう意味です!」
…なんか話が…、
この人ダレかと勘違いをしてる。
ダレか、と…。
私の知らない何があって、だけどそれは多分答えは出てて、
「手術でもされたんですか?声が出れるようになってよかったですね」
バラバラだったそれが少しずつ連なるように、
「だから今日は初めましてですねーーーーーーーーーーアヤセさん」
私の前に突き出された真実に、目の前が真っ暗になった。

