「あ、いや、す、座ってて下さい!準備は俺らの役目なんで!」
何故か凄い焦ってて周りをキョロキョロしてる。
まるで何かに怯えてるようで、何度も何度も「大丈夫ですから!」と頑なに断るその態度にあっと察した私は思わず笑ってしまった。
突然笑い出した私にその人は「ん?」とキョトンとしてて、
「大丈夫です。”準備させられた” なんて言いません。自主的に私が言い出したことですから」
カイさんの彼女の私に準備なんてさせたら、ということなんだろう。
そんなお姫様待遇に吃驚したけど、カイさんはそんなことで怒ったりしない。
「私バーベーキュー初めてなんです。何をしたらいいですか?」
念願のバーベーキューなのにお姫様待遇で椅子に座ってるだけじゃつまらないに決まってる。
こういうのテレビで見た光景そのものだ。
私の押しに折れたその人は「じゃあ…トング探してきてもらえますか?」と遠慮がちに教えてくれた。
見かけによらず凄く優しい声をしてるその人曰く、『あの箱の中にあると思うでんすけど』と言われ、端に追いやられてるダンボールを漁れば探していたトングが見つかった。
「これですか?」
意外にも早く見つかったトングをその人に渡せば、優しい顔で「ありがとうございます」と笑った。
「なんか予想してた人と全然違って驚きました」
「え?」

