廊下の先にある階段をそろりと上って突き当たりの部屋を探す。
朝の静けさが変な緊張に拍車をかける。
この扉の奥でカイさんが寝てるって思うと変な話人間味を感じた。
極端に言ってしまえばいつも無口であまり感情表現をしないから睡眠をとってることに、私と同じ人間なんだってバカなことを思った。
「…ハナです。カイさん起きてください」
一応ノックをして声をかけてみたけれど、応答がないのは想定内。
人に起床を頼むぐらいだからかなりの低血圧だと思ってたけど、私の予想は外れじゃなかった。
…仕方ない、入るしかないみたい。
意を決してドアノブを捻って扉を押せば、目の前に広がったのは。
畳の上に布団を敷いてそこに寝息を立てる、私をここに呼んだ張本人。
窓は全開でこんな暑い中よく寝てられると感心する。
足音が畳にこすれてゆっくり近づいた。
まだ起きる気配はないみたい。

