ブンベツ【完】



付き合い始めた頃から15分くらい歩いて向かう駅に手を繋いで送ってもらうのが日課。
最初の頃は車で家まで送ってもらったけど、毎日それは流石に申し訳なくて、どんなに送るっていうカイさんの言葉にも私がいかんとして認めなかった。

だけど今日に限っては時間をそんな気にしなくていい。


「ちょっと色々あって母が今日家に帰れなくて、父は夜勤で元々いない予定だったので今日は一人なんです。だから少しくらい時間を過ぎても大丈夫です」


だけど門限を破ったことがバレれば更に家に帰る時間は縮むだろうから両手放しでは喜べないのが現状。
これが、ヨシノさんの言う『箱入り娘』ってやつなのかもしれない。


「え、じゃあカイの家泊まればよくね?そんで明日バーベーキューやろうぜ!明日何か予定あるの?」

「え、あっよ、予定は特に…」


え、明日!?急すぎない!?
明日やるの!?

そんな急で人数集まるの!?


「明日丁度木曜だからサジは定休日で休みだし、アスカに至っては年がら年中暇してっから平気だろ。こういうのは思い立ったらやるもんだ!」


と付いていけない持論を掲げるヨシノさんをどうするかカイさんをチラッて見ると「諦めろ」と言わんばかりに思いっきり溜息をついた。