ブンベツ【完】



カイさんと知り合って数週間と数日。

私がカイさんについて知ってることと言えばごく僅かなことだけ。

ベビースモーカーでピースインフィニティっていう銘柄を吸ってる。
ピアスやアクセは付けてない。

あとは無口なことと優しいってことだけ。

歳がいくつとか好きな食べ物とか、在り来たりな会話をしない私からすればこんなもんで。

そんな知人程度の私が、今日から夏休みだというのに朝の9時から何故かお店に来てるのが不思議でたまらない。


一昨日、有無を言わせず与えられた“仕事”を仕方なしに引き受けた。

言われた通りにコンビニでカイさんの朝ご飯もちゃんと買ってきた。
パンとおにぎりコーヒーとお茶、どちらが好きな方を選べる様に買ってきた私は偉いと思う。

昨日のうち借りたお店の裏口の合鍵を使って家にお邪魔する。
時刻は9時5分。

過ぎたのはご飯を選ぶのに時間がかかったんだからそこは配慮をしてもらわないと。