電話は雪の影響で休校になるっていう連絡だった。
電車はほぼ運転の見合わせをしていて、当分動きそうもないと判断したらしい。
丁度今日金曜日で明日から休みに入るっていう理由もあるんだと察した時は、アスカさんの思惑が的中したということになって苦笑いしか出てこなかった。
「外真っ白だよ、ほら」
「見事に積もってますね…」
ヨシノさんと二人して窓の外を見下ろせば雪景色が広がっていてここが都内とは思えない。
こんなに積もってればそれは休校になるか。
電車も動いてないとなるとここからどう帰るか頭を悩ませる。
流石にパンプスでこの雪の中歩いて帰る根性はないし、かと言ってタクシーやバスもこの状況で走ってるのかも怪しい。
でもずっとこのままここにいるわけにもいかない。
私の居場所は、もうここではないもの。
「ハナちゃん教師になったんだってな?」
「はい」
「マジすげぇな。思春期真っ盛りの餓鬼ばっかだろ〜?気をつけろ〜?」とよく分からない助言をくれたヨシノさんにどう反応していいか分からず首を傾げた。
ヨシノさんの言ってる意味は分かる。
だけどその前に『教師と生徒』っていう区切り線があるわけで、間違っても背徳的な事は許されない。

