だけど、そんなことをしても埋まらないって気づいたの。
告白してくれた人も友達に紹介された人と時間を共に過ごしても、記憶は塗り替えれなかった。
それが、カイさんじゃないと意味がないって気づいた時から私はーーー。
「目、腫れてんな」
連れてこられたのはマンションの一室。
20分ほど車を走らせて泣き止んで押し黙る私を抱えカイさんがここまで連れてきた。
恐らくカイさんの家であろうそこの運ばれ、リビングは家具はなく殺風景としか言いようがなかった。
テレビもソファーも無くて、ただあるのはフローリングに置かれた灰皿のみ。
その灰皿に見覚えがある私は吸殻の数に今更驚くこともなく、現在もかなりのヘビースモーカーだと悟る。
私を窓辺に下ろして顔を覗き込んできたカイさんは泣き腫れてるらしい瞼にそっと触れた。
優しいその温もりに瞼が熱を持つ。
覗き込むカイさんと目があったけどどうしていいのか分からず咄嗟に視線を逸らした。
だって、どうしていいのか分からないもの…。
何で、今更、こんなとこで、二人なのか。
私は今すぐ帰りたい、カイさんと話す事なんて何もない。
カイさんに話があるとしたらそれはただ一つだと、私は確信がある。
「…殴ってもいいですよ。私が憎らしいんでしょう?」
抑揚のない声で口をやっと開いた私にカイさんんは一間開けて「なに?」と眉を寄せた。

