心臓が凄い速さで暴れてるのが分かる。
あまりの衝撃に力が抜けて下から数段目の階段に尻餅ついて動けなくなった。
「…バカだ…もうやだ…」
思わず喉から出てしまった言葉に箍が外れて溜め込んでた気持ちが溢れ視界が歪んでいく。
こんなとこで泣いてる場合じゃないって分かってるのに悲鳴を上げる体が痛い。
注目を浴びる中、顔を伏せてもう何もかも遮断してしまいたい。
もう一つのパンプスも落ちた時どこかに行ってしまった。
裸足で電車に乗らなきゃいけないのかって思ったら尚更気持ちが重くなって、自分の惨めさに怒りさえ覚える。
バカみたい。
本当にバカみたい。
こんな所来なきゃよかった。隙を作ってアスカさんから逃げればよかった。
そしたらこんな思いしなくて済んだ…。
カイさんに、会わなくて済んだのに…。
「…ハナ」
不意に香ってきた匂いにまた涙腺が緩んで嗚咽が漏れそうになる。
そんな優しい声で呼ばないで…。
もうここにいるってことは顔を上げなくても分かるし、こんな酷い顔見せるわけにもいかない。
私なんか放っておいてほしい。構わないでほしい。
「…ハナ」
そう言って私の背中に腕を回して抱きしめようとしてくるカイさんに胸を押して必死に逃げる。
「もう離してください…ッ」

