急いでここから逃げ出さなきゃいけないとーーー、
一目散にその場から逃げる私はサバンナにいるシマウマのようだと思った。
捕まったら終わる、まさに味わうものはサバンナと同じスリルで、「すみません通してください」と何回言ったか分からないほどに必死に逃げて遂に階段が目の前に迫った。
ここを登って早くここから出ないと。
逃げてる途中に片方の靴はどっかに行ってしまった。
なんとも見窄らしい格好だけど戻って探してる時間なんてないし、きっとこの人の中じゃ無理に決まってる。
「ハナ!!!」と怒鳴り続けるカイさんの声はどんどん大きくなる。
扉まで凡そ数メートル。
片足パンプスに片足裸足で階段を駆け上がる。
大丈夫、ここを抜ければ絶対忘れられる。リセットできる。
今まで通り何の変哲もない日常に戻ってそれからーーーー、
「ッあ、ぐ」
ーーーーーッやばい、足が縺れて。
次の瞬間感じるのは冷や汗と頭が真っ白になって自分がどこかに落ちるという恐怖。
勢い余って駆け上がったその所為で思考に体がついて行かず足が縺れ、そこの高さから私の体は落ちた。
止まらない冷や汗と共に感じるのは強打した膝と頭から落ちないように反射的にズルズル落ちる階段にしがみ付いた腕。
まだ頭が真っ白で自分が置かれた状況についていけない。

