「アイツも分かってる」
「え?」
私が口を開く前に先にカイさんが口を開いた。
加えていた煙草を吸い殻が溜まる灰皿に押し付けながら、まるですべて分かってる様な感じで。
「最初から暇を承知であんたに頼んだから今更ごちゃごちゃ考えたって無駄だ」
「でも私は」
「働いて金を貰う、自然の摂理だろ。あんたが例え金を受け取らないって言ってもヨシノは無理矢理にでも渡す」
「た、確かにアルバイトっていう形でここに来てますけど、座ってるだけなのにお金を貰うわけにはいきません」
「働いてることに変わりはねぇだろ」
「そうではなくて、」
お金を貰うほどの働きを見せてないのに、そんな甘い話に乗るなんて出来ない。
むしろ。
「無給料で構いません」

