「皆元気だよ。サジくんもヨシノくんも、カイくんも」
私今どんな顔してるかな。
私を見るアスカさんの表情がなんとも言えないからきっと酷い顔なんだろう。
やっぱり駄目なのかもしれない。
”昔話”を語るにはまだ早かったのかもしれない。
無理やりブンベツしたものが超えちゃいけない境界線を超えてこっちに来ようとしてる。
…そんなの、無駄になる。この4年、私のしてきたことが無駄になる。
帰らなきゃ、ここにいたら私は絶対、
「…ハナ、俺お前と街で会ったことカイくんに伝えた」
「な、なんでッ」
「多分俺らがここにいるのももうバレてる。その証拠に、さっきからケツポケの携帯が鳴り止まねぇんだ」
その言葉と同時にポケットから出てきた携帯がカウンターの上で振動を繰り返してる。
それは間違いなくカイさんからで、切れたと思うとまた生き物みたいに震え続ける。
「わ、私帰りますッ」
違う、違う違う。私はカイさんに会いに来たんじゃない。
これからだって会うつもりも毛頭ない。
私は急いでコートと鞄を掴んで席を立ち上がる。
踏み出そうとする足は微かに震えてて、また思い通りに動かなくなる体に怒りすら湧いた。
ここに来てどのくらい経ったかわかんないけどまだきっと時間的に電車はあるし、もし雪になっていたとしても積もってないだろうから電車は動いてるはず。

