「お前の前で煙草吸おうとしたらカイくんに吸うなってキレられたんだよ」
「あ…」
…そ、うだ…私、なんで…今まで忘れてたの…。
ふわふわと曖昧に浮かぶ記憶を見つけて引っ張ると、確かにそんな場面があった。
居間でアスカさんが吸おうとしたらカイさんが途端にそんな事言い出した。
『そいつの前でそんなもん吸うな』
今思えば、カイさんと付き合ってから一度も私の前で吸わなかった…。
吸うときは必ずコンロの前で吸ってたし居間の卓袱台に灰皿も見なくなって、
「妊婦じゃあるましになんだよって思ったけど今ならなんとなくだけど分かる」
「私が…高校生だったから…」
「そんでお前が寝てるときいつもの癖で煙草加えたらカイくんブチ切れで、首根っこ掴まれて店にほっぽられたんだよ。お前知らねぇだろ?」
胸がぎゅうっとなって凄い痛い。
与えられてた優しさに気づかなかった自分に凄い腹が立つ。
胸が凄く痛くて苦しくて、眠ってる想いがまたじわぁっと溢れそうで凄く怖くもある。
愛おしい、と思うのと同時に息が吸えないくらいに凄く凄く苦しい。
分かってた。18のあの時の私でも、“カイさんに大事にされてる”って分かってた。
「…カイくん、今あの店にいねぇよ。元々あの店はサジくんの女の店で、一時的にカイくんが営ってただけだから」
「……」

