気づけば12月上旬。
今年は例年より寒いとニュースで聞いた。
窓から見える校庭を走る生徒が酷く可哀想な気がしてならないこの季節。
教師も楽じゃないけど生徒も生徒で大変なものなんだと染み染み思う。
あと一ヶ月もすれば今年が終わってまた年が明けて、去年の年末は先生方と忘年会を開いたけど今年も多分あるんだろう。
きっと一ヶ月なんてあっという間で、気づいた頃にはもう年が明けてるに違いない。
「ハナちゃんばいばーい」
「さようなら、雨降ってるから気をつけてねー」
この季節に雨なんて本当に神様はストイックすぎる。
雨が雪に変わらない事を祈って私も早く帰らなきゃ。
あったかい職員室に入り急いで残りの仕事を片付けよう。
「今日雪が降るんじゃないかって朝ニュースで言ったましたよ」
「え、そうなんですか?」
席に着くなりプリントを広げる私にベテラン先生が心配そうに話しかけてくれた。
雪が降って帰る頃には電車が運休なんて事になってたら帰れなくなってしまう。
「電車で通勤されてましたよね?帰れなくなる前に今日はもう帰ったお方がいいですよ。他の先生ももう準備されてますし」
ニッコリ優しく笑う渡辺先生に悟られて申し訳ない気持ちをかかえたまま急いで学校を出た。
生徒が並ぶバス停に一緒に並ぶと「ハナちゃんマフラーで顔埋まってるよ」と担当する生徒たちに笑われて恥ずかしい思いをした。

