『私からカイを、盗らないでね』 そう紙切れに書かれた文字がナイフの様に私の心を突き刺した。 私のものだったはずの人は、違う人のだったんだと気づかれた瞬間。 横取りしたのはお前の方だ、と言われてる気分だった。 きっとどこかでわかってた。 居間にあるテレビのラッグに入っていたあの本は、カイさんの想いだったんだと。 ーーーーーーーーーーヨシノさんの奥さんであったアヤセさんが、好きだったんだと。