*隼汰side





悠斗を茶化しているとどこからか

莉奈姉の悲鳴が聞こえた。






俺らは迷わず走る。






低い男の声が聞こえて思わずドアを開けて

中に入ったけれども

俺には何が起こっているのか分からなかった。







あの温厚な悠斗が顔を真っ赤にして

莉奈姉の彼氏である蒼先輩を殴っている





その近くで震えながら泣いている

姉ちゃんの制服は前のボタンがほぼ全部

取れていて下着まで見えていた。






とりあえず姉ちゃんに俺の着ていた

ブレザーを被せ震えが落ち着くまで傍にいた。






たまたま暇していた菜月さんが迎えに来てくれて

授業も出ずにそのまま帰宅した。





姉ちゃんの部屋に着いてベットに寝かせ、

部屋を出ていこうとすると






『行っちゃ嫌だ…


 一人にしないで…』






か細い声で訴える姉ちゃんは

涙を流しながらこちらを見ていた。





無言で悠斗がベットに戻る







「姉ちゃん、悠斗いれば安心だろ?


 じゃあ悠斗、何かあったら呼んで!


 下で菜月さんと話してるから」







そう言いながら俺は部屋を出た