私は口をパクパクさせながら、この状況を呑み込めずにいる。






「ねえ、夏子ちゃん。これ何?」

「はっ!?なんでぇっ!?」

「この好きな人って俺だよね?」





そしてようやく、察した。



こいつ、告白のことも全て分かってた上で待ち伏せでもして動画を撮ったのか!




「俺だよね?俺でしょ?」

「ちっ、違う!!」

「えー、嘘だー」

「嘘じゃないっ!」




すると、いいかげん腕を離してくれた。



私はくるりとヘラ男に向き直って眉を釣り上げる。




「じゃあこれは何?夏子ちゃんが言ってるところ、バッチリ撮れてるんだけど」

「そっ…それは…」

「顔もちゃんと写ってるし、証拠確定だよね?」

「だ、だから…」




どうしようどうしよう。



もしかして私、これから笑いものにされるの?



実は俺がお前に告白したの、ドッキリだよーーーーん



みたいな展開になって…



明日から私は学校に行きにくくなって…





「これだけ証拠が揃ってるんだからさすがに言い訳できないよ?」





爽やかな笑顔で、じわじわと私の逃げ道を塞ぐ。




「だからっ…それは…っ!」

「それは、何?」





それは…、それはっ…!





「あんたじゃなくて、別の伊藤くんよ!」