「…ねえ」

「んむ?」

「もしかして私を連れてきた理由って」

「ん?」

「ブリブリなこの店に男1人じゃ入りにくかったからじゃないでしょうね」

「んっく、ピンポーン」




ミルクティーの入ったカップを持つ手に力がこもる。


あれから、バスを降りて徒歩10分くらいのところにあるお店に連れて行かれた。


それはもうメイドカフェですか!?と聞きたくなるような外見の喫茶店。


メイドカフェなんて行ったことないけど、こんな感じなんだろうなと思わせる店。


さすがに男1人じゃ入るのが辛いから、仮カノジョでもある私を連れて来たと。


へーえ、ふーん。




「…帰る」

「待って!」

「1人で行けばいいでしょ!?私は関係ないじゃん!」

「ある!」

「なにが関係あるのよ!?言ってみなさいよ!」




目の前で大きなパフェを食べているヘラ男を睨みつける。


こいつ甘党だったのか、と今更ながら気づいた。




「んー、これ」

「なにそれ…生徒手帳?」




パクパクと食べる手を止めず、奴が取り出したのは私たちが通う学校の生徒手帳。


なぜ生徒手帳?


その疑問はすぐ解決することとなる。




「じゃじゃーん」

「…ッ!?な、そ、それ私の!?」




ヘラ男はニッコリスマイルで生徒手帳の見開きを私に見せつけた。


その瞬間、私は冷や汗が出た。