「夏子ちゃん」
「…ん?」
あ、バス停が少し見えてきた。
もうそろそろ繋がれた手も離れちゃう。
「俺、本気で好きになった女の子は夏子ちゃんだけだから」
「…ふうん」
ドキドキしているのは、冬樹に聞こえてないといいな。
「今までタイプとかよく分からなかったけど」
「美人で巨乳が好きなんじゃないの?」
「……どこで聞いたの。まあ、典型的な男でしょ」
「そうだね」
「取り敢えずそう言ってたんだけど」
いつしかトイレで女子に冬樹と付き合ってるのか、と聞かれたとき。
ついでに冬樹の好みも言ってたから。
「けど、今の俺のタイプは夏子ちゃんだから」
「……ん」
「夏子ちゃん」
「なに?」
「夏子ちゃん」
「だからなに?」
冬樹が立ち止まったので疑問に思い
前に向いていた視線を、冬樹にやる。
すると、視界は冬樹でいっぱいになった。
3度目のキス。
今回は、抵抗しなかった。
離れる唇が名残惜しい。
「好きだよ夏子ちゃん、大好き」
「……どうも」
「夏子ちゃんは?」
冬樹はほんのりと頬を染めながら、私の顔を覗き込む。
「俺のこと、好き?」
あ、バスが…。
私たちが乗る予定だったバスは通り過ぎ、バス停に向かっていた。
今から走っても間に合わないだろう。



