偽恋物語




しかも、手!


手を離してほしい。



「ふっ、お前手、熱いな。」

「…あ、熱くないし!」



誰のせいだと思ってんのよ。



「なぁ、昨日、俺にドキッとした?」



いきなり話変えんなっての。



「って…え?
ドキッ?ん?」



いつの話してんの?

もしかして、昨日のナンパ事件?



「なぁ、俺にドキッとしただろ?」



蒼衣くんは、ニヤニヤしながら私の顔を除きこんでくる。




「し、してないし!
自意識過剰なんじゃないの!?」




うそ。 本当はドキッとしたけど。