偽恋物語




「瑶華!大丈夫!?
なにかあった?」


家に帰るなり、お姉ちゃんが駆け寄ってきた。



「麗華さん、こいつ拉致られそうになってました。」

「はぁ!?
拉致られるぅ?瑶華!ほんとなの!?」



お姉ちゃんが私の肩をユッサユッサとゆさぶる。



「う…うん………
でも、蒼衣くんが助けてくれたから…」


「そうなの?ありがと〜!
さすが!瑶華の彼氏ね!」

「いやぁ、照れるっすよ!」




なによ……蒼衣くん、またお姉ちゃんにデレデレしてさ…


「じゃ、蒼衣くん!
今日はありがと!」



蒼衣くんの顔も見ずにそう言って、
二階に上がった。



だって…私がいても、意味ないもんね。






「私って、必要とされたこと………
あるのかなぁ…」