中庭につくと、男の子は唐突に、

「俺の名前、知ってますか?」

と聞いた。

いやいや、しらねぇよ。てめぇの存在自体今まで知らなかったよ!

なんて事は口が裂けても言えず…
私はその男子の上履きをちらっと見た。

"柏葉"
上履きにはそう書かれていた。

「知ってるよ?"柏葉くん"でしょ?」

私は前々から知っていたかのような素振りをみせてニッコリ笑う。

「あ、知ってたんですか?」



柏葉くんは、嬉しそうに頬を赤く染めた。

えらく、単純だな。こいつ

「ふふっ。…ところで、話があるんでしょう?どうしたの?」

「あっ、その事なんですけど…」

柏葉くんは、急に頬を紅潮させた。