すると突然、加賀谷は声を上げて笑いだした。
「あははっ!
なに本気にしてんの?」
「えっ………?」
びっくりして、思考が追いつかない私を見て、更に笑う加賀谷。
「これくらいで照れるとか………
もしかして………
好きな人、できたことないんだ?」
何を言い出すかと思えば、痛いところ
をついてくる彼に腹が立った。
それに、図星でもあったから。
「………別にっ!
あんたには関係ないでしょ!?」
「いやぁ、一応彼氏だし?」
「ふんっだ! そーですよ!
好きな人なんか、出来たことないもんね!」
この事は、自分でもかなりのコンプレックスだった。
確かに、皆に合わせて適当にかっこいー!とか言うことはあるけど、
本気で人を好きになったことなんてない。
「っていうか、"恋"ってなに?
………馬鹿らしい。」
人を好きになると世界が変わる。
なんてよく言うけど、そんなの嘘に決まってる。
こんな欲望に満ち溢れている世界………
変わるわけがない。

