美咲たちは、会場の歓声が凄すぎて暫し唖然となり
顔を見合わせた

そんな中、葵が美咲を見つけると
ニコッと満面の笑みを浮かべる

「…アイツ」

一斗は美咲の肩に手をかけ葵を睨んだが
葵は一斗の様子なんて気にしない
演奏の準備をしてマイクの前に立った。


曲が始まると会場は静まり返る

バラード調の曲が流れ
涙を見せる女の子もいた。

失恋ではない初恋系の唄なのに…



演奏が終わると
葵は美咲をもう一度見て
ピースをしてウィンクまで
やってのけた。
また一斗と目があった時には数秒見つめた後

「ふっ」

と俯いて笑っていた。

「あのヤロー…」

そんな事に気づいた奈緒は翔の袖を掴み

「ちょっと、ちょっと
火花散ってるんですけどー」

美咲は一斗の顔を見上げ

「一斗!!葵くん上手だね」

と言って微笑んだ。


優勝したのは言うまでもない
葵たちのバンドだ。