二階の奥の部屋の前で
颯が振り向き

「ここだよ」

右手を美咲の肩にまわし
ドアを開け中に入った。


美咲は部屋の様子に違和感を憶えた
白を基調とした洋室の奥には机が置いてあり
ノートが広げられていた
本棚には受験の問題集や参考書が整然と並べられている
窓際のベッドは綺麗に整えられていて
部屋の隅には電子ピアノまで
何処を見ても一斗を感じられなかった。


“違う!?"


颯から慌てて離れると
不適な笑みを浮かべた颯が
美咲の腕を掴みグイグイ引っ張り
ベッドの前まで来ると
乱暴に突き飛ばした。