翔と色んなやり取りをしている目の前では
分厚い歴史の本を広げる男子生徒がいた。

でも彼は本など読んでないだろう。



「おい!そこの2人、さっきから
やけに楽しそうだな」


「お前さ、大道具は教室で看板作りするんじゃなかったのか?」

そこに居たのは一斗だった。

「あれ?そうだっけ?
ってか何で2人並んで座ってんだよ
しかも図書室って、どんだけ」

「なんだ一斗ヤキモチ妬いてんの?」

翔は一斗の顔を下からうかがうように悪戯な目で笑った。

「うっせぇ翔!も少し離れろっ」


「ハイハイ…美咲ちゃん、ここ暑くない?
続きはファミレスでやろうか」

「ダメだ!!2人っきりにさせねぇ」

一斗は歴史の本を勢いよく閉じた。

「あっ!一斗の家は?奈緒も呼んでさ」

「はぁ?俺ん家で?」

「ダメならファミレスへGO」

翔は拳を上に挙げチラッと一斗の顔を見てニャッと笑った。

「あー、もうーわかったよ」

「俺、奈緒呼んでくるねー」

翔は、図書室から出て行った。