夏休み目前



学校帰り翔は一斗に呼び出され、一斗の家に来ていた。


リビングのソファーに腰掛け2人向かい合って話を
始めた。


「やっぱりアメリカに行くんだよな?」

「あぁ、向こうの新学期に合わせて…8月には行くよ」

翔は身を乗り出して口調が強くなった。


「ホントに美咲ちゃんに言わないのか?」

「言わない…花火大会に会うのを最後にするよ」

一斗は俯き寂しげな表情になった。

翔は、それに気付いた。


「お前、それで納得すると思う?」

「最初は泣くかもしれない…でも目の前で泣かれたら決心が揺らぐから」


「行くなとは言わないよ、でも美咲ちゃんの気持ちも考えてな」

「…」

「たまには帰って来るんだよな?」


「いや、中途半端に帰って来ても美咲は戸惑うよ」


「そうか…」

「翔、奈緒と2人で美咲のこと助けてあげてな…」

「わかってる…そんな事」

「サンキュな」


2人とも顔を見ることが
出来なかった。