「綾音…」

葵は棚の引き出しを指差した。

「これ?」

葵は頷いた。

綾音に白い封筒を渡された。

封筒の表には

[藤ヶ谷美咲様]

と宛名が書いてある。

「葵、美咲に渡すからな」

葵は頷いた。

「俺…カッコ悪いっす」

「そんな事ねぇよ、お前はいつでもカッコイイぞ」

葵は力なく笑った。


「美咲さんには言わないでほしい…」

一斗は返事を返す事ができなかった。


「美咲さんは…元気にしてますか?」

「おぅ、元気だ」

葵は瞼を閉じ安心した顔になった。

「それなら、良かった」

「葵も元気出してな!俺とお前はライバルだからな」

「負けないっ…す」

葵の悪戯っぽい懐かしい顔が一瞬よみがえった。

「俺もだ」

「ありがとう…」

そう言うと葵は再び深い眠りに落ちた。



“葵!早すぎるよ、お前はまだ17才だぞ?俺は、お前に美咲を託したかった
俺も美咲もどうしたら…?
葵!教えてくれ"