ファミレスを出てしばらく歩くと翔と奈緒の姿があった。

美咲は立ち尽くしたまま
奈緒を見た。


それを見つけた翔が奈緒の手をひいて美咲たちの元へ近付いた。


「美咲ちゃん、奈緒にちゃんと俺の気持ち伝えたから」

「うん、私ね噂になるような事はないから」

奈緒が美咲の左手を両手で包み

「美咲ゴメン私、気にしすぎた」


一斗は2人の様子を見て目を細めて微笑んだ。


「あのさ、俺たち今まで通りで良いんじゃない?
俺だって奈緒が困っていたりしたら助けるし翔だって美咲のこと励ましてくれたら助かるし」


奈緒は翔の顔を見上げ

「…あのさ、私、翔が好き!」

そう叫んで翔の腕に絡み付いた。

「ウワッ!なんだいきなり」

そんな翔だが、嬉しそうに奈緒を見つめた。


「あー、悩みすぎて、お腹空いたっ!」

美咲の顔が自然にほころんだ。


「あー!いつもの奈緒だー」


それぞれの胸の支えが少しずつ取れてゆく瞬間だった。