教室に入ると美咲は奈緒の方へ駆け寄って行った。

一斗は翔の前で立ち尽くした。


「翔、そこ俺の席だし…」

翔が、一斗の傷だらけの顔を見て

「うわっ!一斗、どうした?
その顔…しかもパンダ」

一斗は机の上に鞄を置き

「美咲に殴られた」

翔は立ち上がり

「は!?…2人ともサボって何かあった?」

「何もねぇし」

「ふぅーん」

翔が、つまらなそうな顔をして席を退いた。

「何かあった方が良かったか?昨日は、、、」


理貴にあった事を話した。


「そうか…」

「あぁ、この怪我は、その後、美咲に治療してもらった」


「美咲ちゃん優しいな…先に付き合いたかった…」

一斗は小声になり


「お前、いまさら何言ってんの?」

「一斗、冗談だよ…」


「お前、二度とそんな事言うな!」



翔が美咲のことを好きだったのは知っていた。


“俺にだって譲れないものがあんだよ、たとえそれが翔だとしてもな"