シーンと静まりかえったリビング…
2人で並び座っていたが
気まずい雰囲気に美咲は耐えられず、さりげなく立ち上がった。
「何か温かいの飲もっか?」
「おぅ、そうだな」
一斗は顔をあげニコッと笑って頷いた。
「今すぐ作るから、ちょっと待ってね」
美咲はキッチンで、ケトルに湯を沸かしココアを作り始めた。
マグカップにココアの粉末を入れようとした、その時
「美咲!」
声と同時に背後から一斗が美咲を力強く抱きしめた。
美咲の持っていたスプーンが、ガタッと床に落ちた。
「わっ!ビックリするじゃん…今すぐ…」
美咲の言葉を阻むように
一斗は美咲の体をギュッと引き寄せキスをした。
軽いキスを何度も繰り返す。
[ピィーー]
ケトルの警笛で一斗が唇を離し2人同時に勢いよく立ち上る湯気を見つめた。
“お!これは…よくあるドラマの光景だぜ"
「あー、何だよ良いところだったのになぁー、なっ美咲!」
「なっ、何言っちゃってんの」
“うわ〜何か言葉がヘン"
「アハハ!美咲可愛い」
美咲は慌ててガスレンジの火を止めスプーンを拾い上げた。
「もう出来るからリビングに行ってて」
「おぅ!」
一斗は素直にキッチンから出て行った。
“ヤバイ…すごいドキドキだー、毎日一緒にいるのに何でよ!?
こんなんで1日持つかな"

