一斗はリビングのソファーに座り部屋の様子に
安堵の表情を浮かべた。


「一斗の家に比べたら狭いし
まるでウサギ小屋でしょ」

「いや、家族の暖かさが伝わる良い家だよ、俺ん家は皆で食事もしないし会話もないからな
全員揃ったのは、いつが最後だったかな」


「そう…なんだ」


美咲はそのまま黙りこんで
傷の手当てを始めた。


“うわっ!めっちゃ顔が近いんですけど"


恥ずかしさから目を合わさないように消毒液を脱脂綿に染み込ませ一斗の傷口にあてた。


“美咲、顔が赤いな!すげぇ可愛い"


一斗はそんな事を思わず考えてしまう。


傷に消毒液があたると、痛みが走る。


「イテッ」

「うわっ!ゴメン…もうちょっと我慢してね」

美咲は慣れない手つきで
治療を続けた。

救急箱の中から絆創膏を取りだし


「あー、絆創膏しかないや…」

独り言のように、そう良いながら口元と目の横に貼り付けた。