やはり家には誰も居なかったが、ついさっきまで人が居た温もりだけは残っていた。

桃花は通信教育の高校に通っていて今日は月一の登校日。


学校が片道、一時間以上かかるため毎月母親と登校していた。


一斗をリビングに通し

「そこに座っててね」

ソファーを指差し薬箱を取りに行った。




「取り合えず、美咲は学校に電話しろよ」

「えっ…一斗は?」


薬箱をテーブルに置き一斗の顔を見て首を傾げた。


「俺は、いいから…なっ!」

美咲の頭を撫でて顔を覗き笑った。


「うん」



担任には風邪をひいたと
嘘をついた。