美咲は一斗の横に座り込み
しゃくりあげるように泣き出した。


「かっ…一斗…うっ…」

「…なに泣いてんだよ」

「…だって一斗が泣いてるから」

一斗は仰向けになったまま腕で顔を覆ってた…

それは流れる涙を隠すために。

「泣いてねぇし…」

一斗は強がってみせた。


「一斗…顔を見せて」

美咲は一斗の腕をそっと外し見つめた。


一斗は目を瞑ったまま


「理貴先輩は全てを許してくれた訳じゃない
こんな事で許してもらおうだなんて…思ってない
俺は先輩を裏切って2人を傷つけたんだ」


「もう、いいよ一斗
一斗は、ちゃんと謝ってた」

「…」

「先輩が言ってたように
いつか笑って話せる日が
きっと来るよ」

「…そうかな」

「うん、そうだよ」

美咲は一斗の手を握りしめた。

「美咲、ありがとう」


一斗は、ゆっくり起き上がり美咲の涙の跡を指で拭ってあげ
美咲も一斗の涙をハンカチで拭ってあげた。