職員室にいた先生に大きな紙袋を貰いロッカーに無造作に置いてあったチョコを詰め込んだ。


美咲は下を向いていたから
巻いてたマフラーが少しほどけてしまった。

一斗は無言で美咲のマフラーを巻き直してあげた。

「一斗…ありがとう」

美咲はマフラーに手をあてニコッと笑った。


「うん」

一斗はニコッと笑って自分のマフラーに手をあてた。


「あのさ…これ一斗に」

美咲は鞄の中から小さな箱を一斗に渡した。


「おっ!チョコ?美咲はくれないのかと思った」



「だって渡すタイミングが無かったし」

「開けて良いか?」

「どうぞ」

ラッピングを剥がし箱の蓋を取るとトリュフチョコが10コ入っていた


「うわっ!!手作り?
メッチャ嬉しい!美咲のチョコが一番だからな、日本一…いやっ世界一だし」

一斗は一粒口に入れ美咲に微笑んだ。

「旨い!美咲も食べて!」

一粒つまみ美咲の口へと運んだ。

美咲は少し顔をしかめて


「ん?ちょっと苦かったかな」


一斗のイメージに合わせて作ったトリュフチョコは

ほろ苦い味だった。