「なんか翔に気ぃ使わせちゃったかな」

「いいの、いいの!!珍しく気が利いて私もビックリだけどね」


「翔って奈緒に優しいよね」

奈緒はぐるぐるっとグラスの氷をストローでかき回しながら
溶けていく氷を見つめて笑った。

いつもクールな奈緒だから
そんな姿が、とても可愛くて照れているようにも見えた。

「うん、まぁねー…それよりさ一斗とクリスマス過ごしたんでしょ?」

「うん、あちこちデートして楽しかったよ」

「ねぇ泊まったりした?」

「泊まったよ」

奈緒は身を乗りだし小声になり

「おぉー!それで!?」

「それで?」

美咲は奈緒を見て首を傾けた。


「何おうむ返ししてんの!」

「は?」

「あんな事や、こんな事って無かったの?」

身振り手振りで何かを聞き出そうと必至になっているようで

「ん?あんな事…?」


“奈緒が聞きたい事はわかっているし…"


美咲は少し惚けてみた。


「やだ、もしかして何も無かったの?」

「うん、ないよ」

「2人きりなのに?
ふぅーん…そっか」

つまらなそうに、乗りだしていた身をソファーの背にあずけ美咲が頼んだピザにタバスコを振り始めた。