一方、観覧車の中では

唖然として立ち尽くしてる美咲に


「美咲、座れよ」

拓は目の前のシートを指さした。

「うん」

俯き加減に座り、静かに顔をあげ拓を見つめた。

「美咲、今日はありがとな」

美咲は微笑み首を振った。

「あのさ、桃花と上手くいってるみたいだね」

「うん…美咲、ごめんな」

「何が?拓が謝ったら変だよ」

「俺は美咲を傷付けたよな…俺は…」

「それ以上は言わないで、ねっ!?拓」

「…」

「桃花の事お願いね、普段は明るい素振りを見せてるけど本当は寂しいんだよ」

「わかってる、いくら推薦とはいえ距離をとってしまったのか、自分が嫌になる
だけど今は桃花が大事なんだ」

「うん」

「美咲は今、幸せか?」

「幸せだよ」

「そっか」

拓は力なく微笑んだ。

「そんな顔しないで桃花がビックリするから」

「わかってる」


観覧車は頂上に差し掛かった。

動いてるのは観覧車の方なのに景色が、時々動いているように見える不思議な空間

その景色を2人はただ黙って見続けた。