美咲は我に返り


「聞こえないけど、声も出るし唇も読めるの」

「そうか」

桃花は美咲と話し続けた。

「わかった、カズトに聞くね」


一斗は美咲と桃花を見比べて

「どうかした?」


「うん…あのね、冬休みに拓が帰ってきたら
一斗も一緒に遊びに行こうって
私は2人で行けば?って言ったんだけど桃花、効かなくて」


「そっか、美咲はどうしたい?俺は平気だけど」

「会うのは構わないけど…
拓が私との連絡を裁っているし、しかも2年会ってないから」


「良いじゃん会えば
桃花ちゃんが望んでいるなら」

「…」

美咲は少し悩み桃花に

『いくよ』


と答えた。

桃花は嬉しそうに笑い

一斗に

『ありがとう』

と手話で話した。

美咲は一斗に

「一斗、桃花が、“ありがとう"だって」


一斗は桃花に笑顔をむけ頷いた。