〔B〕

「わからないよ。」
「なにが?」
「君が去る理由だよ。」
「よくわかんない。」
「僕の台詞だろう。」
「…。」

さゆり、これは僕からの手紙です。決して妹が書いた物ではありません。良く読んで下さい。
君は僕の大切なラケットを壊しただろう、それも思いっきり角かなにかにぶつけて。正直に言って下さい。そうすれば僕はあなたを許します。きっと信じないだろうけれど、きっと許せる日が来ます。君を責めようってわけじゃないんだ。この先も君の事を好きでいることが可能だし、なにせふたりでいると楽しいもんな。この機会に色んな話をしよう。3年半も経つけれど、僕たちの間にはお互いに良く知らない事が多過ぎる。親の事とか、小学校とか。体のコンプレックスとか。

とにかく一度話をしようよ。                             
                                            君のことをいつでも忘れない僕より。


BGM 「Bolivar Blues」 Chick Corea&Hiromi Uehara