「なんだなんだー?暗い顔しちゃってー!」


耳元で妙にハイテンションな声。

声の主は俺の背中から飛び降りて正面に立った。


そうして顔を覗き込んでくる。


「お前さー見た目によらずクールなんだな!もっとヤンチャかと思ってたわ!」


こいつ、このデリカシーの欠片もないやつが入学早々、席が隣の俺に絡んできたのだ。


遊んでほしい犬のように俺の周りを走り回るこの男は、

高尾 竜太 (たかお りゅうた)

というらしい。

赤茶色の髪の毛をセットし、耳にはピアスが光っている。

俺の容姿をヤンチャの言えたものか。


「うるせーよ高尾。」

そんな言葉じゃこいつはめげないと1週間でしっかり学んでいるが、黙ってもいられない。

「えー、はやと冷たくなーい?」


挑発するような上目遣いでこちらを見てくる。


「はいはい。俺朝弱いの。寝る。」