憧れ。 俺が、奈実乃の感情はそれだとずっと言い聞かせてきたモノ。 今更気付いてなんなんだ。 憧れだったらなんだ。 今そいつと付き合ってんだろ? 「最近、直樹を見るのが辛いよ」 物音一つしない。 聞こえるのは、軽く響いている奈実乃の声とキーンとした耳鳴り。 この先は聞いてはいけない。 そんな気がした。 『俺、空待たしてるから行くわな。』 くるっと振り返り、ドアに手を掛ける。 「待って直樹!」 奈実乃の熱は俺の背中を通して伝わってくる。 細い腕から伝う強い力。 「行かないで………」