隣の一番星




ゴールデンウィークが開けたある日、気分がどん底に落ちるような出来事が起きた。



「好きになっちゃった。」



部活帰り鉢合わせた俺たちは二人で下校していた。




『え?誰を?』


「もー。聞いてなかったのー?先輩だってばー!」




先輩。
初めてその先輩の名前が俺たちの会話に登場したのは二日前だった。



女子バスケ部の奈実乃は週3で男子バスケ部と合同練習をしている。

奈実乃が重たいお茶ボトルセットを持っていると、その先輩が代わって持ってくれたらしい。



「桐山涼介っていう背の高い先輩」



誰だ、そいつ。
奈実乃の言葉を未だに受け止め切れていない臆病な自分。



好きになっちゃったってなんだ?
好きになっちゃったってことか?



『良かったじゃん、いい人見つかって』


『うん!私、頑張るね!』


俺の言葉に、ちゃんとした気持ちなんてこもってないとも知らずに無邪気な笑顔で返してくる。


大丈夫だ、まだ二人が付き合った訳じゃないんだ。