奈実乃は走る。
人がたくさんいるところに。
行く先はもちろん。
「せ、先輩っ!ついて来て下さい!」
先輩も微笑んでついて行く。
そりゃそうさ。
付き合ってるんだし。
「あ、やっぱり奈実乃ちゃんバスケの先輩と付き合ってたんだね!」
ふと後方で声がした。
『……笹川』
「お昼食べたらクラス対抗リレーだよ!!緊張してきたーーーー」
いつも通りあたふたとしている笹川。
そうだよ、俺だって彼女がいるじゃん。
でも、こんないい子なのにこんな気持ちで付き合っていいのだろうか。
やっぱ断った方がいいかな。
『あの…さ、笹川』
「ん?」
そう言って振り返った笹川の顔が無邪気過ぎて、俺は言葉をなくした。
『ごめん、何もない』


