夜、風呂から上がって濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に入った。
半開きのカーテンは気味が悪くて閉めようと近づいた時、向かいのベランダに立つ奈実乃の姿を捉えた。
ガラっ……
『何やってんの?』
あの日からは初めてのベランダトークだ。
といっても、俺が気まずく感じてベランダに出なかっただけだけど。
「あ、直樹!」
なんか、久しぶりだね。
名前を呼んだ後に付け足すならこのセリフ。
っというような表情。
『お前何出んの?』
「私は障害物競争だよー」
そう言いながら、風呂上がりのサラサラの髪に指を通す。
少し離れているのにシャンプーの香りが俺の鼻を刺激した。
『それ最後の紙のやつって、変なの入ってるらしいぜ』
「へ、変なやつ!?」
『好きな人連れて来い、とか。』
俺がそう言うと奈実乃は、えー!!っと頭を抱えて叫んだ。
「違うのにすれば良かったー!」
馬鹿だーっと二人で笑い合った。


