ガチャっ!
『おじゃまします!』
高濱と書かれた表札の付いた家に、インターホンも鳴らさずに入る。
「あら直樹くん、いらっしゃい」
ドタドタと階段を駆け上がり、向かう先は…………
「……直樹?」
『よおっ。』
奈実乃の部屋。
その中には目を真っ赤にさせた奈実乃。
やっぱり泣いてたか。
「なんで!?一緒に行く子たちは!?」
『うっせー、何でもいいからさっさと浴衣着て用意しやがれ』
戸惑う奈実乃に、ハンガーに掛かってあった浴衣を投げつける。
『あっち向いといてやるから。』
「一人じゃ着れないよおー!」
赤い目からまたこぼれ出す涙。
『ばかやろー!だったらおばさんに着せてもらえよ!』
ぐすんぐすんと涙を拭いながら階段を降りる奈実乃。
あいつは人前では泣かない奴だ。
泣く時は必ず自分の部屋にこもってひっそり泣く。
だから、ほっとけないんだよ。


