また、桜が満開の季節になった。
今年俺たちは高校に入学する。



「直樹!おはよ」



いつも通り満面の笑みでふわふわの髪を揺らしながら走ってくる。



『おはよ』



こいつは高濱 奈実乃。
隣の家で物心付いた頃から一緒にいる、いわゆる幼馴染。



「見て見て!新しい制服、似合ってる?」


『さあ』



中学の頃とは違う制服に袖を通す奈実乃。



「さあって何よー!さあってー。」



頭の賢さのレベルがたまたま同じだったから、家のすぐ近くの高校に一緒に合格することができた。


慣れすぎて返事も素っ気なくなるし、一緒にいすぎて扱いも雑くなる。



今更、俺の気持ちを面と向かって伝えるなんて恥ずかしくてできない。



それでも、いつか必ず伝えたいと思ってる。