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小学校五年 夏






『奈実乃、もうすぐ夏祭りだな!』




「そうだね!私、水島くんと行きたいな!」




『え?』





それが、この時感じた人生最大のショック。




隣にいるのが当たり前のはずの奈実乃が、他の男の隣に行きたがった事。





結局、何も言えない俺は水島やクラスのやつらを誘わざるを得なかった。





誘った日の夜、友達と遊び終えて家に帰ると奈実乃が俺の部屋にいた。





「直樹ーーーー!ありがとっ!」





そう言っていきなり俺に飛びついてきて、あげくにホッペにチューをした。






『何すんだよ、きもちわりい!!』



「水島くんを誘ってくれたお礼だよ!」






それはとても嬉しいことだけど、喜ぶべきなのか悲しむべきなのか。




でも、奈実乃が喜んでいるなら俺だって素直に嬉しいんだ。